ジェネシス(創世記)
広がり行(ゆ)く宇宙、膨(ふく)らみ続ける宇宙。ビッグバン現象(げんしょう)により、宇宙が誕生しそのまま膨(ぼう)張(ちょう)を続けた。

いや、宇宙そのものが巨大な「生命体」なのだ。種子(しゅし)は、土(つち)・水(みず)・栄養素(えいようそ)がなければ発芽(はつが)しない。

宇宙にも「種(たね)」があった。未知の栄養素によって殻(から)を破(やぶ)り(ビッグバン)、発芽(はつが)した。細胞分裂が始まり、そして成長していった。

 この種子を、もし人類が発見し悪用した場合、多分(たぶん)、全宇宙を支配することができるであろう。

この種子を、永遠(えいえん)に封印(ふういん)しなければならない。困(こま)ったことにその種子は、地球上にあった。それは、人類が作った「箱」の中に納(おさ)められていた。

 そして太陽が消滅した。当然、地球も火星もその他の惑星も消滅してしまった。次は、宇宙が消滅する時だ。宇宙の膨張は、もう限界に達していた。

 風船は、膨らみ続けると通常は破裂(はれつ)する。しかし宇宙は、破裂することなく急速(きゅうそく)に収縮(しゅうしゅく)へと向かった。

今まで右に回転しながら膨らんでいた宇宙が、反転し始めたのだ。左回りで縮(しゅく)小(しょう)に切(き)り変(か)わった。宇宙の崩壊の始まりである。

 宇宙空間に存在する無数の恒星(こうせい)(太陽のように自(みずか)ら発(はっ)光(こう)する星)が、巨大化した。

太陽よりさらに重い星たちは、大爆発を起こして超新星(ちょうしんせい)となる。その超新星の残骸(ざんがい)として、「中性子星」になるか、または「ブラックホール」になった。

 「中性子星」は鉄の中心部の重さが、「太陽」の重さの一.四倍以下で、しかも最大で半径一0キロと非常に小さな中性子の塊(かたまり)となっていた。

 しかし鉄の中心部の重さが一.四倍以上もあった場合、超新星はその重力崩壊によって収縮(しゅうしゅく)が進み、「ブラックホール」となる。

 
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