ジェネシス(創世記)
第一章 宇宙の崩壊
第一章 宇宙の崩壊(ほうかい)

「初(はじ)めに言(ことば)があった。言は神とともにあった。言は神であった(ヨハネによる福音書(ふくいんしょ))」

 その頃(ころ)の地球は、もうすでに灼熱(しゃくねつ)の大地と化(か)し、人類やその他の生物は絶滅(ぜつめつ)していた。

黄色(おうしょく)巨星(きょせい)の「太陽」も水素(すいそ)(H)がなくなり、燃(も)えかすのヘリウム(He)同士が融(ゆう)合(ごう)し、赤色(せきしょく)巨星(きょせい)(表面温度が下がって、赤色の星となること)となり果(は)てていた。

 太陽の構造(こうぞう)は、半径約七0万キロメートル、地球の約一0九倍。表面重力は地球の二八倍。赤道(せきどう)付近での自転(じてん)は二六日、極致(きょくち)での自転は三五日で一回転している。

質量は一0の二七乗(じょう)トン、地球の一00万倍。表面温度は六000度、中心部では一五00万度もある。

 地球が誕生(たんじょう)してから約一00億年経(た)った頃(ころ)、巨大化した太陽は、水星や金星を呑(の)み込(こ)んでいた。けれども、地球はかろうじて呑み込まれずに済んだ。

だが、地表面は一六00度以上もあり、生命体の生存(せいぞん)はもう不可能となっている。当然、人類が存在できるはずもない。

 赤色巨星の太陽は、エネルギーを放出(ほうしゅつ)できずに、小さく冷(さ)めた白色矮(はくしょくわい)星(せい)となり果(は)てた。

しかも自分の重力に耐(た)え切(き)れず、小さくなりつぶれていった。太陽の巨大化によって、一方の火星は、ほどよい気温を保(たも)ち続(つづ)けていた。移住するには快適(かいてき)な世界であろう。

 「原細胞(げんさいぼう)」は、五0~六0回の分裂(ぶんれつ)によって死滅(しめつ)する。宇宙もまた五五0億年か五五00億年以上も経つと、終止(しゅうし)符(ふ)を打(う)つ時(とき)がくるようだ。

 星の寿命(じゅみょう)は学説によると、表面温度が低く重力の軽い星ほど、一00兆年も輝(かがや)き続けるらしい。

重力の重い太陽の寿命は、約一00億年と言われている。この本書の物語では、宇宙の寿命は長くても、五五0億年ぐらいと設定(せってい)した。
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