ジェネシス(創世記)
「光あれ」

その洞穴の中に、一筋の光が射した。洞穴の岩が取り除かれ、封印が解かれた。一頭のヤギを探していた、少年の叫ぶ声が聞こえる。時に一九四七年、それらの書物は「死界からの古文書」として発見されるのであった。

「私はあなたを国々の光とし、私の救いを地の果てまで、もたらす者とする(イザヤ書四九)」

「主」は、虐げられていたユダの民を救うため、ユダ人との契約を破棄した。ユダの民は改心して、新しい宗派を創世させた。

人徳を兼ね備えた、新しい宗教観念の世界を築くために、「俺」は生まれ選ばれたようだ。古い聖書は、もういらない。全く「新しい聖書」に、書き換える。それが「俺」の使命だ。

 たとえ優秀なユダ人でも、「主」はとうとう見切りをつけた。ユダ人と契約しても、「主」は目的を果たすことはできないと悟ったのだ。

全世界の人類を、「俺」が創り出した「クリストス教」の信徒にさせることで、「主」の目的は達成できると考えたのであろう。

「主」の目的とは、大勢の政治家や科学者を輩出させることだ。科学者を輩出し、「神の国」へと導くことにある。今のユダ人では、戒律が厳しすぎて、科学技術の発達が望めない。

だが「俺」は、「神の子」でもなければ、ユダ人の「救世主」でもない。ただのつまらない「人間」だ。

私の頭脳・身体は、人より数十倍発達しただけだ。そのため、寿命は短い。新しい聖書の作成は、弟子たちに任せる。

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