ジェネシス(創世記)
シャトルを着陸させて、内部から爆発させる計画もあった。けれども、そんな危険きわまりない掘削技術はまだ、持ち合わせてはいない。

乗員たちも全員、無事に帰還できる保証はどこにもない。その巨大な隕石に向かうだけでも、一年以上を要する。遠すぎる。この計画も非現実的とみなされて、却下された。

 移住計画は急がれた。否、移住計画ではなく「地球脱出計画」に切り替えた。核融合を推進機関とする反重力宇宙船も、多数建造された。

しかし、母船の爆発事故は相次いだ。核融合装置が不安定なのだ。それと反重力装置の安全性にも、問題があった。

 原因は日本で製造された、部品だ。今に始まったことではないが、欠陥がまた見つかった。製造を急がせたために、品質管理を怠ってしまったのだ。職人意識が欠如している。

 メートル法が国際規格と統一されていたのに、アメリカ人たちはインチ(一インチ、二.五四センチメートル)を採用していたことも分かった。単純な人的ミスである。

 火星の赤道付近では、地下型の居住地二五カ所に一000名ほどの研究者と家族が生活している。総定員は一五00人だ。

残り、五00人しか収容できない。これらの建物は、巨大な地下水の中に鉛(Pb)の壁でできた建造物を建設していた。

 水槽の中だと中性子線は、水素分子に衝突することで速度が減速される。鉛は、ガンマ線やX線を貫通させない性質を有している。

ただし鉛は、その密度が高くまた重い。これも小惑星から採取した鉱物を使用した。
 
< 271 / 375 >

この作品をシェア

pagetop