蝶々結び
「あたし、やるよ」


あたしはそう言って、食器を持って立ち上がった。


「七星、ええんか?」


「うん!たまには、おじいちゃんとおばあちゃんのお手伝いしないとね♪」


どこか心配そうな祖母に、笑顔で頷いた。


「ありがとうなぁ」


祖父母は嬉しそうに笑いながら、あたしの顔を見た。


「うん♪」


「そんなん当たり前やん!創太君だって、みっちゃんの手伝いしてるねんから!」


「えっ!?創太!?」


「さっき外に出たら、創太君が畑仕事手伝ってたわ。今朝来たばっかりやのに偉いなぁ……」


母はそう言うと、立ち上がって食器を洗い始めた。


創太、もう来てたんだ……


悪い事は何もしていないけど、創太に会うのは何だか気まずい。


あたしは畑仕事を手伝う事と言った事を、少しだけ後悔してしまった。


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