蝶々結び
創太と上手く話せない。


「あたし……居間に戻るね」


この場から離れたくて、控えめに言いながら立ち上がったけど…


その瞬間、創太に手首を掴まれて動けなくなってしまった。


戸惑っていると、またその場に座らされた。


「創太……?」


恐る恐る創太の顔を見て、ドキリとしてしまう。


彼はさっきまでと違って、真剣な眼差しであたしを見つめていたから…。


あたしは金縛りにでも遭ったかのように、そのまま動けなくなった。


「ごめん……。俺、アカンわ……」


創太は少しだけ俯いて、小さなため息を吐いた。


「何がダメなの?」


ゆっくりと尋ねて、俯いたままの彼の横顔をじっと見つめた。


「ん〜……。緊張……してるねん……」


「緊張……?」


小首を傾げながら、静かに訊き返した。


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