蝶々結び
「うん……」


「どうして?」


控えめに訊くと、創太はゆっくりと顔を上げてあたしの瞳を真っ直ぐ見つめた。


そして長い長い沈黙の後、彼がゆっくりと口を開いた。


「お前に告白するから……」


あたしに告白……?


その言葉を理解出来ないあたしを余所に、創太はそのまま話を続けた。


「俺、ずっと七星の事が好きやった。昔から好きで……今年は絶対告(イ)おうと思って、こっちに来たんや」


どう答えていいのかわからなかったけど、視線を逸らす事も出来なくて…


胸の奥が、ギュッと締め付けられた。


「でも……お前にとって、俺は恋愛対象ちゃうやろ?」


創太に見つめられたままのあたしは、何も答えられない。


「それでもええから……」


創太は優しく微笑んで言うと、あたしの頭を撫でてから立ち上がった。


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