蝶々結び
「言わんから大丈夫や」


創太はそう言って、優しい眼差しであたしを見つめた。


「あっ……。ごめんね……」


あたしは、創太から手を離して小さな声で謝った。


創太の眼差しが痛いよ……


何だか泣きそう……


唇を噛み締めながら、微かに滲んだ地面を見つめた。


「俺さ……」


創太が話し出した瞬間、あたしの体がビクッと強張った。


「七星、大丈夫やから……。俺は七星が好きやねんから、良兄にお前の気持ちを言ったりせぇへん……」


創太は、優しい笑顔を向けてくれた。


「そうだよね……。ごめん……」


当たり前の事だ……


創太は意地悪だけど、人の心を傷付けるような事はしない。


あたしは自分の事ばかりで、彼の事を何もわかっていなかった。


いくら何でも、最低だよ……


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