蝶々結び
その後、あたし達はずっとドライブをしていただけだった。


こんな田舎だと行く所なんて無いから残念だけど、今は車から見える外の景色がやけにあたしを落ち着かせてくれた。


まだ自分の気持ちを認める事が出来た訳じゃない。


ただ、上杉先生を好きだと自覚しても、あたしが何か行動を起こすなんて有り得ない。


きっと、卒業まで何となく曖昧にしたままで終わり。


その方がイイんだ……


もし仮に、あたしが先生に告白をしたとして、一体何がどうなるって言うの……?


上杉先生を困らせて、あたしも気まずくなって、卒業するまで学校が居心地の悪い場所になるだけ…。


だったら何も言わないで、この気持ちも無かった事にしたい。


創太にはバレたけど、上杉先生には言わないって約束してくれた。


だから、あたしさえドジを踏まなければ、この恋は誰にも気付かれない。


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