蝶々結び
仕方なく、上杉先生の背中を追い掛ける。


「お前が後ろだと、どっちかわかんねぇんだけど!」


先生は立ち止まって、後ろにいるあたしを見た。


「並んで歩くと、まずいんじゃないですか……?誰かに見られたら、どうするんですか?」


「大丈夫!うちの学校は、地元の奴はほとんどいないから♪」


あたしは少しだけ戸惑いながら、笑顔を見せた上杉先生の隣に並んだ。


何か変な感じ……


そんな事を考えていると、不意に上杉先生が口を開いた。


「お前……俺と初めて会った時、俺の事を生徒だと思ってたんだろ?」


先生があの時の事を覚えていてくれた事が、すごく嬉しかった。


だけど…


「だって……まさか先生だなんて思わなかったから……」


少しだけ焦ったあたしは、言い訳みたいな言葉を返してしまった。


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