蝶々結び
あたし達は、牛丼屋の近くにあるバッティングセンターに行った。


「野球した事あります?」


「ないよ」


白田君の質問に首を横に振ると、彼は意味深な笑みを見せた。


「やってみません?」


「絶対に無理だよ!あたしは見てるから!」


あたしは断固拒否して、ネットの外から白田君を眺める事にした。


彼がバットを振ると、軽快な金属音とともにボールが飛んだ。


高く舞い上がり、綺麗に真っ直ぐ飛んだボールを見て、思わず興奮してしまった。


「すごいねっ♪」


「どうも♪でも、俺はホームラン狙いなんスよね!」


嬉しそうに言った白田君は、またすぐに真剣な表情になって、その後も何球ものボールを打ち続けた。


「クソッ!!」


結局ホームランの的には届かなかったけど、あたしはすごく楽しんでいた。


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