蝶々結び
自動販売機でジュースを二本買って、一本を白田君に渡した。


「あっ、ありがとうございます!」


額に汗を滲ませている白田君は、笑顔でジュースを受け取ってくれた。


「野球やってるの?」


「中学まではやってました」


「今はもうやらないの?」


何だか勿体ない気がして、真剣な表情で尋ねた。


「そうっスね……。生徒会との両立は難しいし……」


「勿体ないよ!生徒会にも部活やってる子はいるし、白田君もやればイイのに!」


あたしは興奮気味に言って、白田君の返事を待った。


「野球はただの趣味なんスよ!今は生徒会が結構楽しいし、そのうちバイトもしたいし……」


「そっか……」


惜しい気持ちもあったけど、あんまり言うのは悪いような気がして…


それ以上、野球の事には触れなかった。


< 242 / 494 >

この作品をシェア

pagetop