蝶々結び
文化祭から1ヶ月後の10月下旬、体育祭も何とか無事に終える事が出来た。


白田君とのデートの後から、あたしの気持ちは何となく晴れないままだったけど、忙しさで深く考える暇が無かった。


あれから、彼とは生徒会の事以外ではほとんど話していない。


上杉先生とも事務的な話ばかりで、あの時の会話も忘れつつあった。


それでいい。


上杉先生の言葉に、いちいち一喜一憂しちゃいけない。


あたし達は、“先生”と“生徒”。


よく、ドラマやマンガで“禁断の恋”なんてやっているけど、現実はそんなに甘くない。


あたしの中では、上杉先生に想いを伝えるなんて有り得ないし、ましてや付き合うなんて夢のまた夢だ。


あたしは、先生への気持ちのせいで不安定になっている足元を安定させるかのように、自分自身に何度も何度もそう言い聞かせていた。


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