蝶々結び
「一緒にいたって、彼女じゃないかもしれないじゃん!」


グループの中の一人がそう言うと、周りで見ていた子達も頷いた。


あたしも、心の中で頷いてしまった。


何となく、信じたくない……


あたしは、上杉先生への想いを必死に忘れようとしているのに…


どうしていつも間の悪いタイミングで、先生の事が出て来てしまうんだろう…。


「だって、腕組んでたし!」


「マジでっ!?」


「ショック〜ッ!!」


『腕を組んでいた』と言う現実に、心が突き刺されたような痛みを感じて胸が苦しくなった。


悲しみが押し寄せて来る。


もう、聞きたくない……


だけど、そんな気持ちとは裏腹に、足は動いてくれない。


心底聞きたくないと思っているのに、あたしはその場に立ち尽くしたままその子達の話を聞き続ける事しか出来なかった。


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