蝶々結び
あたし達が校舎を出た頃には、すっかり陽が沈んでいた。


「遅くまで付き合わせちゃって、ごめんね!でもすごく助かった!本当にありがとう!」


あたしは笑みを浮かべ、白田君を見上げた。


「全然イイっスよ♪俺、暇だったんで!むしろ七星さんの役に立てて、嬉しかったっス♪」


彼は心底嬉しそうに言って、優しく微笑んだ。


白田君は昨年生徒会に入って来た時よりも、随分と背が伸びたような気がする。


「ねぇ、背伸びた?」


心で感じた疑問を言葉にすると、彼がキョトンとした表情になって、あたしをじっと見た。


「あれ?あたし、何か変な事言ったかな……?」


少しだけ不安になっていると、白田君が首を横に振った。


「伸びましたよっ!!七星さんにそう言って貰えて、嬉しいっス♪」


彼の満面の笑みを見て、あたしまで嬉しくなった。


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