蝶々結び
「あっ、そうだ……」


不意に呟いた白田君は、バッグの中を漁り始めた。


「どうしたの?」


小首を傾げながら尋ねると、彼がプリントを取り出した。


「優子から預かってたんスよ!危うく忘れるとこだった……」


白田君に手渡されたのは、昨日優子に貸したプリントだった。


「始業式の日でイイって言ったのに……。ありがとう」


あたしは苦笑した後、笑顔でお礼を告げた。


「全然!むしろ、ラッキーとか思ってたし……」


「え?」


白田君の言葉の意味がわからなくて、小首を傾げた。


「じゃあ、俺バイトなんで!失礼しますっ!!」


「あっ、うんっ……!また三学期にね!」


あたしの言葉を待たずに走り出した白田君の背中に向かって、慌てて叫んだ。


さっきのは……


何だったのかな……


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