蝶々結び

上杉先生から語られた真実は、悲しくて苦しくて…


何よりも心が痛い。


先生はずっと、同情だけで彼女と過ごして来たの……？


あたしには想像する事すらも上手く出来なくて、歯痒さを感じていた。


「じゃあ……あたしは……っ！」


どうすればイイんですか……？


声にしたかった言葉を、喉元で飲み込んだ。


こんな事なら、いっそ振られた方が良かったのかもしれない。


両想いでも傍にいられないのなら、失恋したも同然…。


ううん……


失恋よりも、もっと辛いのかもしれない。


上杉先生の彼女みたいに、同情だけど傍にいられる事…。


あたしみたいに、両想いだけど傍にいられない事…。


一体どっちがツラくて、どっちが幸せなのかな……


あたしはそんな事を考えながら、心の中に生まれた言葉を口にした――。