蝶々結び

上杉先生に早く会いたくて、公園まで必死に走った。


何度も足が縺(ﾓﾂ)れては、転びそうになる。


運動不足のあたしの体は、すぐそこまで走るのも辛い。


だけど…


早く上杉先生に会いたい気持ちは抑えられなくて、全力で走っていた。


公園に着いて奥まで行くと、心配そうな面持ちの先生がベンチに座っていた。


「須藤！大丈夫だったか？」


立ち上がった上杉先生は、小さめな声で訊きながら胸元を抑えているあたしの顔を覗き込んだ。


肩で息をしていたあたしは、深呼吸を二回してからゆっくりと顔を上げて笑った。


「平気です！」


上杉先生はホッとしたように笑って、あたしの手を引いてベンチに座った。


頬が熱いと感じるのは、きっと全力で走って来たからだけじゃない。


くすぐったい気持ちになりながら、上杉先生の横顔を見つめた。