蝶々結び
あたしの恋は誰にも言えないけど、絶対にここで流されちゃいけない。


「あたしには、どうしようもないくらい本当に好きな人がいて……。どうしてもその人の事しか考えられないから、白田君とは付き合えません」


自分の気持ちをハッキリと伝えると、あたしが失恋する訳じゃないのに胸の奥がギュッと締め付けられて、何だか泣き出してしまいそうになった。


それでも必死に涙を堪えて、白田君からの言葉を待っていた。


数秒の沈黙の後…


白田君は、ニッコリと微笑んだ。


「わかりました!俺の方こそ、迷惑掛けてすみませんでした!じゃあ、恋も勉強も頑張って下さいね!」


「ごめんねっ……!」


喉元にあった言葉を声にすると、白田君はニッと笑いながら首を横に振った後、踵を返した。


あたしは、走り出した白田君の後ろ姿が見えなくなるまで、ずっと彼の背中を見つめていた。


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