蝶々結び
学校を出てしばらく歩いた後、不意に白田君が立ち止まった。


振り返った彼は、あたしと目が合った直後に勢いよく頭を下げた。


「すみませんでしたっ!!」


「えっ……?」


白田君は、突然の事に驚いているあたしを余所に話を続けた。


「あんなつもりはなかったんスけど、つい勢いで告っちゃって……。ビックリしましたよね!?」


申し訳なさそうな彼が何だか少しだけ可哀相で、首を小さく横に振って笑顔を向けた。


「ちょっと驚いたけど……。大丈夫だよ」


すると顔を上げた白田君が、みるみるうちに笑顔になった。


「あのっ……!」
「でもっ!!」


あたしは何かを言い掛けた白田君の言葉を遮って、彼の瞳を真っ直ぐ見つめた。


「ごめんなさい……」


その言葉で、あたし達の間には一瞬にして気まずい空気が流れた。


< 330 / 494 >

この作品をシェア

pagetop