蝶々結び
結局、上杉先生との事を優子に打ち明ける事が出来ないまま、夏休みが終わってしまった。


受験を控えている三年の夏休みは他の学年よりも短く、二学期に入ると授業のやり方も変わる。


うちの学校では、志望校に合わせた選択教科別に授業を受けるから、同じクラスでもほとんどの授業が別々になる。


だから、私立大志望のあたしと短大志望の優子では、ほとんどの授業が重ならない。


しかも、移動教室ばかりで、彼女とはあまり話す機会が無くなっていた。


昼休みだけは一緒に過ごしているものの、学校では話せる内容じゃない。


その上、あたしは毎日のように予備校に通っているし、優子はバイトに明け暮れる日々…。


あたし達は休日にも会う暇は無くて、結局は打ち明ける事が出来ないままだった。


そして…


季節は秋に差し掛かり、あたしは志望校の推薦を貰える事になった。


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