蝶々結び
校内放送で呼び出されたあたしは、他の生徒達の注目を浴びながら校長室に向かった。


「とうとう呼び出しだってさ!停学だろ?」


「退学か、進学取り消しじゃない?」


「マジでヤバイよな!」


周りから聞こえて来る言葉に心臓がドクドクと脈打ち、心の中が真っ暗な闇で覆われていく。


押し寄せて来る、不安と恐怖…。


確実に何らかの処分を受けるだろうし、最悪の場合、上杉先生は異動になるかもしれない。


それは、あたしにとって停学や退学になる事よりも辛く、先生を失うかもしれないと言う事だった。


足がいつもよりも重くて、上手く動かない。


喉元で何かが絡み付いている気がして、息が上手く出来ない。


校長室の前に着いた時には、逃げ出したい気持ちと葛藤していたけど…


覚悟を決めて、深呼吸をしてからドアをノックした。


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