蝶々結び
母と話を済ませた後、急いで自分の部屋に行って上杉先生に電話を掛けた。


携帯から聞こえて来る無機質な音が、あたしを不安にさせる。


先生……


早く出てっ……!


祈るような気持ちで、携帯を持つ手に力を入れた。


「もしもし……」


しばらくすると、いつもとは違う静かな声の上杉先生が電話に出た。


あたしは先生の声が聞けた事でホッとした反面、また不安に襲われてしまった。


「七星です……」


「うん……」


予想以上に元気の無い上杉先生の声を聞いて、あたしまで泣きそうになる。


「七星……。ごめんな……」


先生に謝られて、震える声を振り絞った。


「せ、先生……?」


その瞬間、あたしの瞳に涙が溢れた。


ねぇ、先生……


どうして“ごめん”なの……?


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