蝶々結び
謹慎明けの日。


あたしはいつもよりも1時間以上も早く、学校に向かっていた。


心配してくれている両親は、学校を休む事も提案してくれたけど…


少しだけ悩んだ末、上杉先生に会う為に学校に行く事にした。


きっと噂は脚色されているだろうし、以前よりも非難の目で見られてしまうハズ。


だけど、あたしは逃げない。


卒業まで、後3ヶ月。


どんな困難でも受け止めて、乗り越えてみせる。


強い決意を胸に校門を潜り抜け、あの桜の木が植えてある場所に向かった。


昨年の春、上杉先生と出会った場所に着いた途端、先生の事が恋しくて堪らなくなった。


「先生……」


会いたい……


「何だよ?」


花も葉も無い桜の木に触れながら呟くと、呼び掛けに答えるかのように後ろから声がして、驚きながら振り返った。


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