蝶々結び
「先生……」


ここに来れば会えるような気がしていたけど、まさか本当に会えるなんて思ってもみなかった。


「ずっと……会いたかった……」


「うん……。俺もだよ……」


あたし達は、微笑みながら言葉を交わした。


「ここに来たら、七星に会えるような気がしてた……」


「うん……。あたしも……」


上杉先生があたしと同じ気持ちでいてくれていた事が、すごく嬉しかった。


まだ登校して来る生徒はいないから、もう少しだけ一緒にいられる。


今の幸せを噛み締めながら、上杉先生との時間を過ごした。


いつもよりも口数は少なかったし、目を合わせる事も無かったけど…


あたしと上杉先生は、桜の木を挟んで背中合わせで立っていた。


この木の後ろに先生がいる……


そう思うだけで、すごく安心出来た。


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