蝶々結び
「……何?」


あたしが立ち尽くしていると、先に男の子が口を開いた。


「あっ……!入学式、始まりますよ……」


少しだけ戸惑ったまま、とりあえずその事だけは伝える。


「あぁ、別にイイよ。俺は出ないし……」


「じゃあ、学校で何してるんですか?」


「昼寝……」


男の子は、また瞼を閉じてしまった。


「はぁ……」


気が抜けた返事をしたあたしは、体育館に向かおうとした。


「お前、一年?」


「いえ……。二年です」


不意に後ろから声を掛けられ、振り返って答えた。


「名前は?」


「須藤七星です」


「ふ〜ん……。よろしく、須藤七星さん♪」


男の子は笑顔を見せて、立ち上がった。


「じゃあ、またな!」


そして、校舎に向かって歩き出した。


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