蝶々結び
「田舎に行くのは楽しみなんだけどね、お祭りがちょっと……。それに友達とも遊びたかったし……」


あたしは食パンをかじった後、苦笑したまま答えた。


「祭り、嫌いか?」


「ううん、お祭りは好きだよ……。でも、あれがね……」


話しながら、慌ただしく動いている母を横目で見る。


「でも七星にはピッタリだって、皆言ってただろ?」


「う〜ん、でもねぇ……」


「まぁ頑張りなさい」


「勉強で期待される方が、よっぽどマシだよ……」


納得がいかないあたしは、またため息をついた。


「七星は変わってるなぁ……。お父さんなんて、勉強が大嫌いだったぞ?」


「あたしも、別に好きって訳じゃないよ」


「いや、七星の成績にはいつもビックリさせられるからな!」


父は満面に笑みを浮かべて、あたしを見た。


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