夢ノ恋ノ花
「今日は満月だよ」


「・・・」


「月光がキミを無惨にも照らす
今日の夜の闇に隠れることは出来ない」


「・・・」


「隠してあげるよ」


「・・・」


「キミの弱さも
 キミの涙も
 キミの過去も」


「・・・」


「裏切らないよ」


「・・・」


「絶対に」


「・・・」


「キミを守ってみせるから」


「・・・」


アナタはゆっくりと
わたしの手を握る手に力を入れて
私を立たせる。


「キミの心の穴を埋める
サンタクロースはやってこない」


ほらね。
わたしが今一番欲しいモノは誰にも
もって来れられやしない。

そんなこと解ってるのに。


「どうしてかって?」


アナタはわたしが尋ねてもいないのに
アナタがわたしに何を言おうとも
アナタにわたしは何も答えないのに
ひとりでに楽しそうにわたしに話しかける。


「理由は簡単」


何故?



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