ぼくの太陽 きみの星
「どっちにしろ、こんなところでふらふらしてちゃ危ないから、乗りなさいよ」


腕を引っ張って、タクシーのところまで連れて行かれた。




「マリカちゃん、また家出人拾ったの」


タクシーの運転手が笑いながら言う。


「やだあ~、また、ってこれでまだ2人目よぉん」


マリカさんとやらが突然豹変した。


(……え゛)


独特の口調。

もしかして、この人……


ニューハーフ?


「ちょっと山ちゃんさぁ、悪いんだけどいったんあたしんち戻ってくれる?

この子降ろしてくるから」

「かわいい子じゃないの。

変な気起こさないでよ、マリカちゃん」


山ちゃん?が笑って請け合った。


「何言ってんの、あたしは山ちゃんだけよぉ」


わははは。

山ちゃんの陽気な笑い声とともに、タクシーは走り出す。
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