ぼくの太陽 きみの星
「ちょっとあんた、どうしたの?

こんな時間に、そんな格好で」


真っ赤な唇から飛び出したのは、低い太いガラガラ声だったのでびっくりした。


「……」


あたしを頭からつま先までじろりと見る。


「何かトラブル?家出?

家出にしてはずいぶん軽装ね」

「……」

「助けが要りそうね。

どこか連れてってあげようか?

お金あるの?」


口調はぶっきらぼうだったけど、その濃い化粧にふちどられた目は真剣そのもの。


……この人は信頼できる。


あたしはそう思った。



「……あの……親とケンカして……家飛び出しちゃったんです」

「あー、そういうことね」


女の人は肩をすくめて何度もうなずいた。
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