ぼくの太陽 きみの星
「………!」


ぼくは一瞬、背中に冷や水をかけられたような気がした。



――さっきのぼくを、ぼくの行動を、未怜ちゃんは覚えているだろうか?




「未怜ちゃん」



ぼくは、ベッドに駆け寄って、ぼくの方へと伸ばされた細い手を握った。


未怜ちゃんは、長い間無言でじっとぼくを見ていた。

かと思うと、大粒の涙がぽろっと目から落ちた。



「――鷹耶、あたしを置いてどこかへ行っちゃったんだね」



深いため息とともに。

悲しげなつぶやきが漏れた。



その黒い目は遠く、ぼくを通り越してどこかを見ていた。




「鷹耶はもう――」



それは、もう過ぎ去った過去のことで、手の届かないことのように。




――そう、ぼくには聞こえた。
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