COLORS【青】パープルA ─螺旋の選択─
じいや……って、『おじいさん』?だよね。
よくあるお金持ちの執事も頭に浮かんだのだが、そんなわけないって思い込んでいた。

「葵おぼっちゃま!」

へ?

その声に反応するかのように私たちは振り向いた。

「じいや!!」

おぼっちゃまって……この子は一体。
さっきまでの涙はどこへやら、笑顔のその子はじいやの元へ飛び込んで行った。

「あなたが保護して下さっていたのですね、ありがとうございます」

「あ、いえ……」

「是非、お礼がしたいのでよけしければ、明日午後五時においで下さい。え――と……」

「青山藍って言います」
自己紹介がまだだと思い慌てて本名を述べた。

「青山様ですね。お手数ですが、明日この住所までお越し下さい」
そう言って名刺を一枚渡された。
久留間総蔵(ひるまそうぞう)……どうやら『じいや』の名前らしい。

『神崎グループ』……?

一瞬、目を疑った。
もしかしてあの不動産で有名な会社!?
噂によれば都内の有名なビルは殆どを神崎が保有しているというではないか。
マジ?
じゃあ、この子は――。

社長の『御曹司』~っ!!!!
ひぇぇぇ~~っ!!

「はっはいっ!!必ずお伺いさせて頂きます」

「お姉ちゃん、ありがとう!」

私は軽く手を振りながら一方では頭の中が真っ白になっていた。
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