あたし、飼育。

｢…な、なんだよ…お前｣

奇妙な者を見るような目であたしを見ないで。

思い出すから。


首に添えた手に力を込めてみた。

そんな目で見るなんて許さない。


｢ぅ！やめろー！！｣

バ！と身を捻られ逃げられる。

辺りがザワザワしてきた。

まぁ、こんな人通りの多い中で首を絞めようとしたあたしもあたしだけど。

怯えたような目をする奴に更に近づく。

逃げようとした奴の襟元を掴んで奴だけにしか聞こえないように、

低く、

呟く。



｢覚悟が出来たら、またあたしをナンパしてみて？教えてあげるから｣


きっと気持ちいいわ…と呟いた所で奴は悲鳴をあげて逃げ出した。


奴の濁った目にはこの世界がどう映っているのだろう？


聞いてみたい気がした。


きっと、

ろくでもない世界だろうけど。