%コード・イエロー%

「あ、お疲れ様!」


受付に入ると、永井君が声をかけてくれた。


「お疲れ様。救急車何台?」


「今ので、3台目。さすがにこれ以上は要請されても断るって」


待合室は、たくさんの人でごった返しているけれど、意外にも受付は静かだった。


「例によって、コンビニ受診が大半だよ。

待ち時間も、今の時点で3時間くらいになってるから、苦情がいっぱいくるかも」


外来と違い、救急診療は、患者さんを優先順位で診ていく。

トリアージと呼ばれるその行為は、災害医療で行われるんだけど、

うちの病院のQ外では、主にベテランの看護師さんの役目だ。

受付順に関係なく、重傷度の判定により、症状の重い人から診ていくことになる。


だから、今のように救急車が入ってくると、先に待っている人たちの待ち時間は、必然的に長くなってしまうわけで。


「待ちたくないなら、診療所に行けばいいのにね」


小さな声で本音が漏れる。


「仕方ないよ。断れないしね」


病院は、診療拒否をしてはいけないことになっている。

確かに、病気の患者さんを診るのが病院の仕事だ。


でも、最近は、モラルに欠けた患者が多いのも事実だ。









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