%コード・イエロー%

「そうか。

じゃあ、お腹見せてね」


仲地は、丁寧に私の傷跡を確認し、手早く消毒すると、笑顔で頷いた。


「膿まずにすんだね。

今日の採血とCT検査に問題なければ、

明日、抜糸して、退院できると思うよ」


「・・ありがとうございました」


通り一遍のお礼を言って、頭を下げると、仲地は立ち上がった。

私が、ほっとした隙を狙うかのように、耳元に唇を寄せて囁く。


「今度、二人きりで会いたいな。

あの時のお礼、まだもらってないしね」


うっと言葉に詰まった私を残し、彼は、すでに次の患者さんを診察中だ。


にこにこと笑いながら、具合はどうですか、なんて優しげな言葉をかけている。



・・俺様医者め。



もともと医者に対して、いい感情を持っていない私は、

冗談とわかってはいても、スルーできず、その広い背中に、敵意むき出しの視線を投げかけた。





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