ミズイロ

彼がこない!



来ない!


もう六日、彼が通りすがらない。



そりゃあどこにも出かけない日だってあるだろうし、駅に用事がない日だってあるだろうし、道を変えて歩いてるのかもしれないし。


でも、私の勝手な都合だけど、通ってくれないと困るんですけど。


寂しいんですけど。

悲しいんですけど。




コンビ二もダメだ。

店員に顔を覚えられるほどちょこちょこ顔を出したけど、いなかった。



私が来る三分前には、彼は立ち読みしていたかもしれない。

私が諦めて店を出た一分後に、彼が入ってきたかもしれない。



そんなすれ違いを勝手に妄想しては、一人落胆。



見てるだけで幸せになれるのに。

会えた日は、一日中幸せな気分でいられるのに。


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