准教授 高野先生の結婚

“○○したもん勝ち”というのは、彼のお得意の言い回しだ。


「思い出したのだけどさ、森岡のところなんて記念日だらけなんだよ」

「記念日だらけ?」

「そっ。なにしろ“すべてが記念日”というのが美穂ちゃんの持論だからね」

「なんか“毎日がスペシャル”みたい」


美穂さんは竹内まりやの大ファンなのだ。

娘の名前を“まりや”にしなかったのが不思議でならないと周囲の人が言うほどに。


寛行さんの話によると、森岡夫妻の場合は本当にすべてが記念日化?されているとか。

いわゆる“二人で初めて○○した日”の類はすべて……。

さらに、記念日とは別に“思い出の○○”という認定?があるそうで。

場所、料理、映画、音楽などなどの各項目で色々とあるのだという。


恋愛の節目ふしめはすべて大切な記念日。

つきあった記念日、プロポーズ記念日、婚約記念日、そして……。


「たしか、森岡のところは入籍記念日と結婚式記念日があるのだよ」

「それって……」

「入籍と挙式のどちらの日が結婚記念日かという君の疑問は解決していないのだけど。

それでもさ、なかなかいい落としどころだと思わない?」

「うん。いいね、すごくいいと思う!」

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