准教授 高野先生の結婚

その夜、私たちはおとなしく?ただ寄り添って眠りについた。

“安全第一のお約束”

お付き合いを始めてからずっと、彼はその約束を真面目に守ってくれている。

本当に真面目すぎるほど真面目に、ずっと。

“真剣に結婚を考えてるなら、別にそんな約束は少しくらいゆるめたって……”

或いは人によってはそんな考え方もあるのかも。

だけど、私たちは違っていた。

結婚を真剣に考えているからこそ慎重で、“お約束”を守ることに厳格なのだ。

そりゃあまあ、一番安全なのは“何もしないこと”に違いないけど。

だけど、いくらなんでもそれはちょっと過酷すぎるので……。

だからこそ、彼はせめて出来る限り安全に慎重に、私を思いやってくれている。

結婚したら――

私たちのルールもやっぱり改定されたりするのだろうか?



夜中、なぜだか急にすっきりぱっちり目が覚めた。

夢にうなされたわけでも、寒かったり暑かったりしたわけでもないのに。

ふと横を見ると隣はからっぽで彼の姿が見当たらない。

私はなんとなく気になって、ベッドをもそっと抜け出した。

< 52 / 339 >

この作品をシェア

pagetop