Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜

夕方、河川敷で待ち合わせをしていたので美穂と一緒に歩いていく。

やっぱり浴衣を来ている人が多いな。

カップルも家族も多くて、ほんのちょびっとだけ淋しくなった。

「琴音はさぁ、ワシタクとはどうなん?」

久々にワシタクって聞いた気がする。

最近私はテニス部に入り浸ってたし、美穂は岡崎くんと遊んでたみたいだし、よく考えたら美穂に会うのは終業式以来だった。

「どうなん、って何が?」

「白鳥くんが韓国行っちゃって別れたんでしょ?ならワシタクと……ゴメン。」

何も言えなくて俯いてたら美穂が謝ってきた。

なんかそれが可笑しくて、美穂にバレないようにして笑いを堪えていたんだけど、ぷっと声に出た。

「あー笑ったなぁ。こっちは真剣に!」

「ははは。分かってる、分かってるってば。あはははは。」

私は腹のそこから笑った。

美穂といると悲しみなんかどっかにぶっ飛んでいく。そんな気になる。

「あ、屋台すごい出てるね。」

「本当だ。なんかいつもより多い気もしなくもないね。」

河川敷は賑わっていて、いろいろな屋台がずらりと並んでいた。

私達が到着してからちょっとして2人がやってきた。



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