Sommerliches Doreiek〜ひと夏の恋〜
放課後の静まり返った教室には拓哉だけが残っていた。
部活動に励む生徒達の声が遠くから響く。
「……お待たせ拓哉。」
私は日直日誌をカンペーに届け、その後、遅刻気味なことで散々注意されていた。
誰も居ない教室。
よくわからないけれど、私はほんの少しだけ拓哉から距離をとっていた。
「おう、帰ろうぜ。」
カバンを肩に担いで拓哉が席を立つ。
数歩遅れる様にして私は教室を出た。