【天使の片翼】
ソードの、妻となる。
・・だめだ、想像できない。
ファラにとっては、結婚することは、初めての場所で乗馬をするくらいの認識だったのかもしれない。
そこまで軽い考えでなかったとしても、少なくともカルレインに結婚を宣言したときほどの勢いは、今はもうなかった。
「なんか、カナンに帰りたくなっちゃったな」
ファラの唇から、ポロリと零れ落ちた本音。
ソードに贈られた石を持ち上げると、泣きたい気持ちになった。
「里心がついたのか」
ソランは、ファラの頭を猫の毛並みを整えるように梳く。
懐かしい、その適度な重みに、ファラは睫をおろした。
・・昔は、よくこうやって頭を撫でてもらったよね。
わけもなく、涙がこぼれて、頬を伝う。
・・馬鹿だな、私。