飛べないカラスたち



「何を言われたんですか?」



どうしようかと悩んでいるところに、レイは無理に聞き出そうとはしない。


夕焼けを眩しそうに眺めながら、「今日の夕飯は久しぶりに蕎麦にしましょうか」なんて呟いて冷蔵庫の中身を思い出している。


意を決して、ルックは口を開く。


音が遠退いていったような感覚を覚えた。



「兄さんが、『妾の子だ』って言われたんだ。兄さん、妾の子なの?」



その言葉を言った瞬間に、ルックは同時に後悔した。


レイの表情がどう言葉を返せばいいのか、思い悩む苦悩の表情へと変わってしまったからだ。


咄嗟に訂正しようとしたが、うまく言葉が出てこない。



「妾って、お父さんが浮気した女の人の子供なんだって、言ってた。けど、僕にとって兄さんは兄さんだよ。どうしてそんなことを言われなきゃならないの?」



「それは……」



流石のレイも口を噤む。


それは否定も肯定もない。つまりは、肯定しているという反応だった。


暫く悩んで、レイは道の端にしゃがみ込むとルックと視線を合わせて呟いた。



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