飛べないカラスたち



信じたくない現実に、頭が割れそうなぐらい苛まされ、ルックは段々とその表情に影を落とし、一人膝を抱えて泣くことが増えた。


母親に怒られて泣いていると、いつも部屋に来て泣き止むまで傍にいてくれた優しい兄。


だけど今は誰も傍にいてはくれない。


自分の一挙手一投足に残る兄の思い出に、更に泣いた。


母親は仕事を始めたらしく、殆ど家に帰ってこない日が続いた。


つまり、両親は離婚して、母は女手一つでルックを育てることになったのだということに気付いたのはそれから数年経った頃だ。


その頃には兄が出て行った理由もなんとなくだが理解が出来た。


兄は妾の子。


妾の子が本妻の元でどうして過ごしていられよう?


ルックの母親はレイの正体を知って、追い出したのかもしれない。


どちらを恨めばいいのか、ルックには答えが出せるはずがない。どちらも大切で、失いたくなかったのに。


家に帰るといつも真っ暗で、食事は特に用意されることはなくキッチンに置かれているパンなどを好きに食べるようにと無言で言われていた。


しかし、ルックは食欲がなく、学校でも食事をとらず、ただ帰ってくると真っ暗な部屋の中、レイの使っていた部屋の隅っこでレイが帰ってくるのをただ待っていた。


部屋の隅で座っていることもあれば、玄関に座っていることも多かった。


足は冷えて、お尻は痛かった。


横になっているといつの間にか眠り、風邪を引いたこともあったが、誰も看病してはくれなかった。



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