王子様は外国人

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「龍崎さん、こっちよ。」

『ハァハァハァ、…桜野路さん、遅れて、ごめんなさい。』

「大丈夫よ。私も、今さっき来たとこだから。」



嘘だって、分かっていても桜野路さんの優しさが嬉しい。
彼女の名前は
桜野路優里さん。

桜野路さんは
優しそうな顔に
ゆっくりとした口調で話し
雰囲気からして
穏やかなオーラが
漂っている。

が、仕事になると
二重人格じゃないのかと
疑うほど、豹変するのだ。

それでも、
上からは信頼は厚いし
下からは慕われている。

だから、
私もそんな彼女を尊敬しているし
そんな人間になりたいと
憧れてもいる。


私が
憧れの彼女の
言葉に
目をウルっと
潤ますと、
急に周りが、
キャーと大歓声を起こした。
私はその声に、
ビクッと体を震わした。


『な、何なんですか!?いったい。』

「あぁ、それはね。フランスにいる……、」


すると、桜野路さんの
言葉を遮るかのように
噂の本人が現れ
空港内はヒートアップした。

キャー、キャー


私は、興味がなさげに
チラッと見た。
すると、飛行機に乗ろうとゲートを潜ろうとした彼と目がバッチリ合い、
急いで視線を逸らし、
桜野路さんと、
仕事の話をしようと
無理矢理話しかけた。

そんな、
私を彼がジッと見ていたなんて
知ったのはずっと
後のことだ。


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