焦れ恋オフィス
ある晩、夜中に目が覚めてトイレに行こうと下に降りると、リビングからもれるあかりと低い声。

「じゃ、来月には家移ります。財産や慰謝料については弁護士に任せますから。
…巧を…巧だけは幸せにしてやってちょうだい」

母さんは何を言ってるの…?

「わかってる。俺のあとを継いでもいいと言ってるしな…。
あいつももう大人だ。大丈夫」

父さんの話す事も理解できない…。

部屋に入ろうとした時、母さんが悲しげに呟く声が聞こえて思わず立ち止まった。
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