3つ感情をなくした彼女〜左耳にピアスの穴




放課後、俺は改めて美雪をB組の前で出てくるまで待ちぼうけ。



「恭介、俺先に帰っていいか?」



「待って、美雪に渡したら帰るからよ」



俺の手には受け取ってもらえなかった栞と地図。



「下駄箱で待ってるぞ」



「おう、すぐ行く」



ホームルームを終え、ぞろぞろとB組の生徒は教室から出てゆく。



美雪は見当たらない、ドアが空いたのを見計らい俺は教室を覗き込む。



鞄を机に置き肘をついて、座ったまま帰る様子がない美雪がポツンと居た。



「帰らないの?」



口が滑り声を発する恭介。


恭介の声に反応し振り返るが、彼女の眼光は鋭く恭介を睨みつけた。



「いつ帰ろうが勝手でしょ」


「そだねごめん。俺が今、君に用がある。帰らなくて待っててくれてありがとうと感謝するべきだった」



何処までもポジティブシンキング男。



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