白衣越しの体温
仕掛け本棚の裏には扉があった。慧は扉を開けて入れ、と目で合図をおくる。
扉の向こうはどうやら庭だったようだ。振り返ると慧が本棚をずらしまた入口を隠してから扉を閉めているのがみえた。
「やっぱりな」
そういった慧の目線をたどると立派な桜の木の下に寄り掛かり眠る九鬼島がいた。
「こいつ…用事があったんじゃないのか!しかも、…お前、慧。ここに入れたのか?知ってて俺の愚痴聞いてたのか?!」
まさかとは思うが・・・と思って聞いては見たが、やはり慧にかぎってそんなことはない。
「いや、こいつは塀を伝って入ってんだ。俺が初めてみつけたのは入学式の1時間前。そりゃ俺も最初は驚いたさ。いると思ったのは勘だ。」
「だよな…」
俺は眠る九鬼島に近付いた。
「それにしても、こいつ…全然起きん…問題児だな。」
「あるいみな。」
「なに笑ってんだよ慧。」
ぱち
「そうですよ」
「うおぉ?!っお前、寝てたんじゃないのか!」
「いま起きました。」
「なんだ。そのじっとりした目線は。」
「笑い事ではありませんよ、先生。言っちゃったんですね。二人だけの秘密だと思っていたのに」
「まぎらわしい言い方するんじゃありません。別に悪意はねぇよ。」
「なっなんだ?!お前らどういう関係だ?慧!」
「だから秘密を共有するような「だから俺が九鬼島の悪事を黙っててやってるだけ。俺もこの場所知られたくねぇし。」
「悪事とは人聞きの悪い…」
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