言霊師
怪訝そうな顔になった一言主を、ムメはただ見つめていた。それ以外に、言霊を操る神が誰かを消す術があるのか、といった顔だった。
けれどムメは、頬に一筋の涙が流れても、拭う事なく真っ直ぐに見つめていた。
名前を呼んで欲しい。
力を授かった日からずっと、名前を呼んでもらえる日が来る事を願っていた。それが不可能だと知っていても、叶う日まで幾つの夢を見れば良いのか数えていた。
神は、血の誓いを断ち切ったら呼んでくれると約束した。だが、今、望んだ形ではなくてもそれが叶うなら…
それでも良いのかもしれない。
「元より、貴方の為の名前です。不必要と言うならば、何も抗う理由はありません。」
吹く風はやはり、懐かしいあの頃のままで。
散るには相応しい場所だと、本気でそう思ったから。
けれどムメは、頬に一筋の涙が流れても、拭う事なく真っ直ぐに見つめていた。
名前を呼んで欲しい。
力を授かった日からずっと、名前を呼んでもらえる日が来る事を願っていた。それが不可能だと知っていても、叶う日まで幾つの夢を見れば良いのか数えていた。
神は、血の誓いを断ち切ったら呼んでくれると約束した。だが、今、望んだ形ではなくてもそれが叶うなら…
それでも良いのかもしれない。
「元より、貴方の為の名前です。不必要と言うならば、何も抗う理由はありません。」
吹く風はやはり、懐かしいあの頃のままで。
散るには相応しい場所だと、本気でそう思ったから。