言霊師
言霊自体は声を発する事はないが、ヒョウリの目と同化して、背後の景色を見せてくれる。

そこに映し出されていたのは

(…女の人だ。)


歳は同じくらいであろうと思われる、長い―――肩甲骨を越える程度の茶髪の、女性。

短めのワンピースに上着を羽織っていて、顔はよく見えないが、清楚な感じだった。

―――害は、ないかもしれない。

そう思ったヒョウリは、様子を見る事にした。

…その女性が、ヒョウリというよりもむしろ、肩に乗っている言霊を見つめていたのには、気が付かないで。
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