カレカノ
「あっそ…」
そう返事をすると、さっきまで柚葉が読んでいたアイドルが表紙の雑誌を取りレジに向かった。
「えぇ!朱希…あんたも欲しかったんだ…それ」
「ち…ちげぇよ…」
「そんなミーハーだったんだ…」
「違うわボケェ!!!」
いつ来ても無愛想な店員さんが渡された商品を打ち込む。
「1840円でぇす」
愛想も悪く語尾をダルい感じで伸ばしながら値段を告げる店員に朱希が苛立ちを隠さず千円札2枚を投げるように置く。
「160円のお返しでぇす…ありがとうございましたぁ」
袋を受け取り不機嫌な顔をしたまま柚葉に振り向く。
「帰るぞ」
財布を尻ポケットに戻しながらスタスタと歩く朱希。
朱希の後ろ姿を無表情で眺めていた店員はすぐに長い爪に視線を落とし感じ悪く弄り始めた。
「やる気ねぇ〜…」
「ほら〜乗らなきゃ知らねぇぞ!」
「はぁい…」
キッと厳しい視線を一度だけ送り自転車の後ろに座った。